松重さん

松重さんとの3回目のデート。お互いの気持ちをぶつけあい、そして…

言うつもりもないのに口走ってしまうこと。
そのせいで昨日までの関係とは大きく変わってしまうこと。
こういうことって避けたいと思っても人生において必ず何度か遭遇するように出来ているんじゃないかと思う時があります。

こんにちは。
柊ちはるです。

松重さんとの3回目のデート
1回目は初めての不倫と初めての松重さんに期待と不安が混じり合いつつも、既婚カミングアウトでフラれに行った様な面もありました。

2回目は完全に友達として会いに行ったのに、松重さんが手を重ねてきたことが私のドキドキと戸惑いを大加速させました。

そして3回目。
私は松重さんの心変わりを聞きに。
そして松重さんは私がデートに乗ってきたことでもしかしたら期待する面があったのかもしれません。

私も松重さんもまさか3回目のデートの後、こんな決着になろうとは思ってなかったろうと思います。

松重さん編最終章の始まりです。

出会った時の松重さんの様子は…

出会った時の松重さんの様子はどこか緊張していたように見え…たのですが、正直私の方が緊張していたからそう見えただけかもしれません。
1回目のデートも初対面ですし、既婚カミングアウトも控えているということで緊張していたのですが、今回の緊張はそれとはまた別の緊張。

ぶっちゃけ言うと松重さんは私を恋人にしたがってるのだという強い予感がありました。
だから今回の緊張は告白してくるだろうというドキドキが強めの緊張です。

ただ表面上は私も松重さんもあまりこの後起きるであろうドキドキの予感を出来るだけ隠しながらいつものように「久しぶり~」という挨拶をして車でランチに向かいました。

柊ちはる

お互い意識してるこの空気感味わったのホントいつぶりだろ

悔しいけど松重さんチョイスのランチは美味しい(笑)

車内ではあれやこれやと喋っていたとは思うのですが、内心緊張していて私自身とりあえず口だけ動かしているような感じでした(笑)

でも特別何かロマンチックなことは喋りませんでした。
お互い意識しすぎてシーンとなるかと思いましたが、むしろシーンとならないように口を動かすようにしていた気がします。

そんなフワフワとした車内の時間を過ごしながらランチする場所に到着しました。
和風のオシャレなレストラン。
釜めしがおススメということでシャケとイクラの釜めしのセットメニューを頼みました。

ん~~~~!
これがまた美味しい!

釜めしは一口ほおばると口の中にふんわりと香りが広がり、後からシャケやイクラの旨みが口いっぱいに満たされていきます。
特に口の中でイクラがつぶれてうまじょっぱくなった時の美味しさと言ったら…。

どこか緊張していた私自身も釜めしを食べるのに夢中で気づけばホクホク顔になりながら「美味し~!」を連発していました。
いつもの私を取り戻したような感じです。

柊ちはる

松重さん…さすがのチョイス(笑)

松重さんはひつまぶしセットみたいなのを頼んでいて、少し分けてもらったのですが、このひつまぶしも身がほろほろと柔らかくてでもうなぎの風味もしっかり感じることが出来て最高でしたね。

ランチを食べながら、「ああ、こんな幸せな時間がたくさん続いたら素敵だなあ」としみじみ思いました。

飲み物をテイクアウトして小高い丘にあるデートスポットへ…

ランチを食べた私たち。
いよいよその時が近づいてきました。

松重さん「ゆっくり話せて周りに人がいない所がいいから飲み物テイクアウトして眺めがいい所で話そうか」

そういって松重さんは車を走らせました。

途中スターバックスによってそれぞれ飲み物をテイクアウト。
しばらく車を走らせると、街並みが一望できる小高い丘のような場所に辿り着きました。

高い場所にあるのに、特に木々がうっそうとしているでもなく、すごく開放感がある場所です。
こんなデートに向いてそうなスポットなのに、周りには誰もいません。

車から飲み物を片手にゆっくりと二人並んで歩きました。

松重さんとの大切な話

心地よい風が吹く中、ベンチに腰掛けた私と松重さん。
先に切り出したのは松重さんでした。

松重さん「話したいことって多分この前の手を重ねたことだよね?」
「うん…。そう。それも含めて松重さんが私を今どう見てるのかな?って」
松重さん「僕は…」

そういってしばらく固まる松重さん。

松重さん「僕は、ちはるちゃんさえよければ付き合いたいと思ってます」

ああ、こんな正面切ってお付き合いを申し込まれるなんて。
天にも昇る気持ちです。でも私はずっと思ってた疑問をぶつけました。

「すごく…嬉しいよ。だけど松重さんは独身で本当は結婚相手を探していたはずだよね?
だから初日恋人としては付き合えないってなったのに。何で心変わりしたの?」

松重さん「…ちはるちゃんが正直に結婚してくれたことを言ってくれたから僕も正直に言う。
正直、結婚するとかしないとか将来を考えて今付き合いたいと言ってるわけじゃない。
ただ、今この瞬間僕はちはるちゃんと一緒にいたいって思う。
それは友達としてじゃなく、恋人として。」

「わかるけど、わかんないよ。別に友達としてでいいじゃん。
今でも見ようによっては恋人みたいな感じともいえるし。
その方が松重さんも他に素敵な人がいた時すぐに本気で好きになれるし」

松重さんはじっと黙った後…

突然

キス、してきました。

ーーーほっぺに

キスが、止まらない

「え、なんで・・・?ほっぺ?」

本当は何でキスするの?って聞くべきだったと思うのですか、なんかいきなりほっぺだったので思わずそっちを聞いてしまいました。

松重さん「いや、だってこの状態から口にキスするのはちょっと無理だし」

そう。その時私たちはベンチに並んで座り、私がうつむきながらしゃべっていました。
その状態で口にキスするには松重さんが私の下に潜り込むようにしなければなりません。
確かにその状態では口にキスするのはちょっと難しいです

「何それ(笑)」

思わず笑う私。
そこで松重さんと目があい…

どちらからともなく、お互いの口に吸い寄られていきました。

最初は触れあうようなキスでしたが、貪るような激しいものになるまでそう時間はかかりませんでした。

体中に電気が駆け巡る。
お互いの手が何かを探すように激しく背中をはい回る。
外で誰かに見られてたら恥ずかしいなあ、なんて少し思ったりもしましたが、でも止められませんでした。

体と矛盾して止まらない私の言葉

長く深いキスの後、お互い少し口を離して見つめ合う状態になりました。
松重さんははぁ、はぁ、と息が荒く、私も多分息が荒くなっていたと思います。

松重さんは一言「嬉しいよ」と。
「私も…」と返事をする私。

でもその後、私は気持ちとは矛盾する言葉を言い放ちます。

「私も…嬉しい。でもこれでおしまい。
最後にこんな素敵なキスが出来て本当に幸せだった」

あれ…私、何言ってるの?

松重さん「え…なんで?僕のこと好きじゃない?」

「好き。大好き。でもこれでおしまい。
私は今日恋人になるつもりで来たんじゃないもん。
恋人としては付き合えないって確認しに来ただけ。
このキスは…少しだけズルのキス。最初で最後のキス」

なにそれ。私の口からは私の意思とは別にどんどん口から言葉が出てきます。

いや。
そうじゃないのかもしれません。
本当は私は最初から気づいていたのかもしれません。

私は松重さんを奪ってはいけない、ってことに。
だって私と松重さんの求める恋愛はどこまで行っても絶対に交わらないから。

きっと今は私のことを受け入れてくれても、いずれ私と恋仲になることに罪悪感を抱く人だから。
松重さんはそういう普通の感覚を持った人だから。

私と松重さんの恋愛は最初に会って私がフラれた時点で終わっていたのです。

キスをしたことでこれまで松重さんと一緒にいた中で一番一緒にいたいと思いました。
ハッキリ言って、このままセックスしてくれたらどんなに素敵かと思いました。

今私がそう誘えば、間違いなく松重さんは私とセックスしてくれる。
私が考えていたよりもはるかに激しいキスをした松重さんだから多分すごく濃厚なセックスが出来る。

でも一番一緒にいたいと思う気持ちと同時に、これまでで一番松重さんと距離を取る決心も出来たのです。

むすび:松重さんとのさよなら

私がこのような思いを伝えても、松重さんは納得してくれませんでした。
そりゃーそうですよね。

「僕は絶対後悔しない。ちはるちゃんを重荷にも思わない」などなど色んな言葉で私を説得してくれました。

でも私はそれを聞くだけで、首を縦にはふりませんでした。
いつからか私は涙を流していました。

少し他の人が来る気配もしたので、車の中に戻った私たち。

松重さん「急にキスして恋人になってって言って驚かせちゃったかもしれない。
今すぐ恋人みたいにならなくても、またこれまでみたいに友達みたいに過ごす時間でもいい。
でもこれで終わりになんてしたくない」

私は幸せです。
私のことをこんなに思ってくれる人に出会えて。

私は「わかった。」と一言だけ言いました。
これは内心ではOKという意味ではないですが、とにかくそう言わないとこの場が収まらないと思ったからです。

松重さんも何となくその雰囲気は読み取っていたかもしれませんが、それ以上何を言ってもしょうがないと思ったのか、車を出しました。

車の中で松重さんがかけてくれたBGMだけが鳴り響き、私は泣いて崩れたメイクを直しました。

駅につき、サヨナラの時です。
「ありがとう。今日も」
松重さん「また少しずつlineするから」

黙ってうなずく私。
でも私はもう松重さんとLineすることはないと思いました。

そして私は一人帰り路につくことになりました。